「ん・・・・っ・・ふ・・・・」
 白兎は、真輝の顔を上げさせた格好のまま唇を落とした。
 ついばむように唇を合わせる仕草の間にも、小さく声が漏れている。
「まぁたん・・・・まぁたん・・・」
 夢中で唇を重ねるほどに、自分の名前を呼ぶ白兎に胸が鳴った。
「まぁたん・・・くち・・・」
 少し唇を浮かせると、白兎は呼吸を整えながら言う。
 白兎は、真輝の唇をなぞるように舐めた。
「ちょっとだけ口あけて」
「くち・・・?」
 訊ねるために口を開いたところをまた白木の唇で塞がれる。
 柔らかく濡そぼったモノが口の中に進入してくると、思わず声が漏れた。
「な・・・ナニ・・・んっ・・・」
 舌を絡め取るように吸われ、口腔内を犯される感覚に夢中になる。
 岡とのキスはただ驚きが支配されていたためわからなかったが、本来のキスとは
こういうものなのだろうかと、真輝は思う。
 夢中で唇を重ね、はぁはぁと息を上げながら舌を絡めてくる白兎は、自分の大好
きで可愛い白兎だ。
 自分の気持ちを伝え、白兎は受け止めてくれた。
 それだけではない。
 白兎は自分の事が好きだと言った。
 満面の笑みで受け止めてくれたのだ。
 嬉しい。
「白兎・・・ぃ・・ん・・」
 真輝が名前を呼ぶと、白兎は唇を浮かす。
「ん?」
「白兎、好き・・・」
「ボクもだよ。まぁたんが大好き・・んっ・・」
 言うとまた唇を乗せる。真輝の身体がグラリと揺れた。
 慣れない行為で全身の力が抜けてしまったのだろう。
「ちょっと背中冷たいけど我慢してね」
 言うと、白兎は真輝をゆっくりと床に寝かせた。
 頬は高揚し火照ったように紅くなっている。
 涙で潤んだ瞳は、覆いかぶさる白兎の瞳を捕らえて離れない。
 白兎は、日に焼けた肌があらわになっている真輝の腹に掌をあてる。
 胸がはだけているのは、岡に弄ばれたゆえだ。
 真輝の体温が掌を通して白兎に伝わった。
「まぁたん・・・・」
 覆いかぶさるように白兎はキスをする。
 額から瞼。頬、耳、首筋へとキスを落とす。
 なにもかも初めての行為に真輝はシャツのボタンを外され、完全に胸があらわに
されていることにも気付かない。
 首筋から胸の突起に唇が落とされた時、真輝の身体はビクンと跳ねる。
 ぴちゃぴちゃという卑猥な音がかすかに真輝の耳にも届いている。
「ん・・・ぁ・・・白・・・」
「感じてるんだ?」
 唇を離し、白兎は真輝の頬に触れる。
 濡れそぼった乳首がかすかな疼きを訴えているような気がして真輝は身をすくめ
た。
「白・・と・・・・」
 泣きそうな目を向ける真輝に興奮を覚えるのを白兎は無意識に感じていた。
 自分よりも身体の大きい男を這わせる優越にも似た感情。
 白兎の中の男の部分が身体を突き動かした。
 くすぐるように首筋に舌を這わせ、片方の手で胸のとがりをこねる。
 柔らかかったソコは、少しずつ熱を持ち、痛いほど固くなった。
 視線を下にやると、くつろげられたズボンの隙間から、はちきれんばかりの起立
が顔を覗かせている。
 それさえも白兎は愛おしいと思った。
「まぁたん。少しだけ腰浮かして」
 荒い息を繰り返す真輝の耳元に白兎は言う。
「え?・・な・・んで・・」
「このままだと辛いでしょ?」
 白木の視線の先には、大きく膨らんだ自分のものがあった。
 すくい上げるように、ズボンの上から小さな手が這う。
「あっ・・・っ・・白兎・・・さわんな・・・」
 逃れようと腰が揺れる。
 告白から今に至る急激な展開で興奮しきった真輝に抑える術は無い。
 甘い言葉をかけられ、敏感な部分に触れられればいやおう無しに反応してしまう。
 そうしているうちにも、白兎の行為は次の段階へと、ことを進める。
 掌を腹から滑り込ませるようにして腰へと下ろす。
 ひやりと少し冷たい白兎の掌で柔らかい陰毛を撫でられて、また真輝は声をあげ
た。
「ひゃっ・・あ・・ん・・ちょっ・・お願いだから・・・白兎っ・・」
 白兎は応えない。
 完全に勃ちあがったモノからは、止め処なく白い液が漏れ出している。
 腹から差し入れた掌は、陰毛を撫で、起立を避けるように柔らかい腿を撫でる。
止めろという言葉と裏腹に、真輝の口からは、明らかに焦れるような息が絶えず漏
れた。
「真輝、腰を少しだけ浮かして。お願い」
 白兎はねだる様に言う。
 困惑したような目を向ける真輝に白兎はもう一度名前を呼んだ。
「真輝」
なだめるようにうなじを撫で、優しいキスをする。
 どちらにしても、限界まで張り詰めた真輝のモノは限界に近づいていた。
 白兎が腰に手をやると、僅かに腰を浮かす。
「良い子だね」
 僅かな隙も見逃さない速さで、白兎は下着ごと真輝のズボンを剥ぎ取った。
 部活で鍛えられた、すらりと伸びた長い足は、羞恥のためか固く綴じられている
。
「白兎・・ナニ・・・・恥かしい・・・」
 真輝の頭は、正直まだ状況を把握しきれていなかったのかもしれない。
 今日一日でいろいろなことがあった。
 あれよあれよというまに、愛の告白を済ませ、今まさに、裸に剥かれた状態で床
に転がされている。
 興奮して、股間を勃たせてしまっているということもあるが、それを、白兎に見
られているということが一層、真輝の羞恥心を煽った。
 感じまいと思っても感じてしまう。
 どれだけ頭の中で懇願しても、股間の息子は治まってくれる様子は無い。
 それどころか、白兎に触れられた部分から蕩けそうになっている自分がいた。
「白兎っ・・・ん・・・っ・・もぅ・・」
「イキたい?」
 起立にあてがわれた柔らかい掌が、巧に真輝を追い立てていく。
「はっ・・・ぁ・・やめ・・・」
 ゆっくりと撫でるように這わせたかとおもえば、きつく握り締めるように刺激さ
れる。
 自分とは別の相手からされる刺激に、初心な真輝が耐えられるはずもない。
「いいよ、1回イって」
 真輝は首を振る。
 与えられる刺激が強くなり、スピードが上がった。
 途端息がさらに荒くなり、腰が震える。
 真輝は、限界に達したソレを、白兎の掌の中にぶちまけるようにして果てた。
 真輝は、荒い息を繰り返している。
「白兎・・・もぅ・・・」
 ゆっくりと起き上がろうとする真輝だったが、白兎に胸を押し返される。
「白兎・・・?」
 応えないまま、おもむろに真輝の脚を割り開くと、白兎は身体を脚の間に割り込
ませた。
「おい、白・・とっ・・んぐ・・・」
 そのまま口を塞がる。
 何度も繰り返しされたのと同じ、深いキス。
「まぁたん、もう少し脚開いて」
 白兎の瞳が、トロンと解けたように甘い。
「ねぇ、まぁたん。お願い」
 昔からそうだった。
 真輝は、この懇願するような瞳には逆らえない。
 少し躊躇いを見せた後、真輝は言われるがままに脚を開く。
 滑り込ますように白兎が脚の間に身体を挟みこんできた。
 それと同時に、真輝は「ひゃっ」と、素っ頓狂な声をあげて脚を閉じる。
「ちょっ・・白兎・・何して」
 必然と、白木をきつく脚で挟み込む形になる。
 白兎は、ゆっくりと腕を伸ばし、真輝の額にかかった前髪を撫でる。
「真輝、良い子だから力を抜いて」
 白兎は、先ほど真輝が放ったもので濡れた指を後ろの窄まりに滑らせた。
 窄まった場所をぐるりと撫でるように指の腹で撫でてやると、ヒクンと肉壁が震
える。
「はっ・・・んん・・・」
 くぐもったような真輝の声が聞こえる。
「可愛い・・・」
 白兎の口から気持ちがそのまま漏れていた。
 普通にしてれば男前で、実は女の子から人気がある事も知っている。
 知らないと思ってるのだろうが、真輝が何人の女の子に告白されていたのも知っ
ていた。
 それでもなお、自分じゃなければダメだと言う。
 自分が居なければ、こんなヘタレでどうしようもない真輝が可愛くてしかたない
。
 指を奥まで埋め込むと、白兎はグルリと内壁を一周させた。
 固い窄まりが少々締め付けるものの、中は柔らかい。
 そして何より熱かった。
「はっ・・・ぁ・・っ・・んん・・」
 真輝の呼吸が少し落ち着いた頃、白兎はある一点を探り当てる。
 滑らかな肉壁に突起したものが指先に触れた。
「あぁああああっ・・・っんふっ・・・」
 途端、真輝の身体は、電流が走ったかのようにビクンと跳ねた。
 一度果てて、ペタリと萎んでいたモノが、少し膨らみを取り戻し、頭をもたげて
いた。
「ココがいいの?」
 きつく目を閉じ、荒い呼吸をする真輝に白木は問う。
 真輝は応えない。
 クチュリという音を立てて指を引き抜くと、白兎は指を2本に増やす。
 時間をかけてほぐしたソコは、難なく2本の指を飲み込む。
 指の腹で内壁をなぞり、固く綴じようとする窄まりを広げた。
 そして、先ほど反応があった突起をくすぐるように撫でてやる。
「はっ・・・んん・っ・・白とぉ・・そこは・・・・いや・だ・・」
 ソコを刺激してやるたびに真輝は震えた。
 身体を震わせ腰を持ち上げる。
 少しずつ頭をもたげ始めた股間の起立も、限界まで張り詰めていた。
「まぁたん・・・」
 白兎は、指の動きを止めると、耳元で名前を呼んだ。
「まぁたん」
 激しい刺激に耐えるように目を閉じ唇を引き結んでいた真輝の耳元でもう一度。
 恐る恐る目を開けた真輝の目は、涙で少々潤んでいた。
 そんな真輝が可愛くて触れるだけのキスをする。
「もうちょっとで終わるからね。だからお願い、ちょっと身体を起こしてくれるか
な」
 力なく真輝は起き上がると、白兎に言われたままの体制をとる。
 まるでネコが伸びをするかのように、床に伏せ、腰だけを高く掲げた格好。
 背後で、カチャリとベルトを寛げる音が聞こえた。
「白兎・・」
「大丈夫。僕はここにいるよ。ほら、力を抜いて」
 冷やりとした冷たい感触と、先ほどまで咥えていた指の感触が臀部に触れる。
 後ろから犯される感覚は、なおも真輝を刺激した。
「ん・・・ふぅ・・・」
「真輝、気持ち良い?」
 白兎は指を3本に増やす。
「ん・・・ん・・気持ち・・いい・・」
 慣らされた肉は、指に卑猥にまとわりついてくる。
「ココ、擦られると気持ちいいの?」
「うん・・・気持ち・・・良いよ」
 止め処なく真輝の口から喘ぎ声が漏れた。
 ジックリと時間をかけて解されたうえ、敏感な部分を執拗に弄られたのでは耐え
られるはずが無い。
「ん・・っん・・・ぐっ・・白兎・・俺・・もぉ・・」
 真輝は限界に達しようとしていた。
「まって」
 自らの手を起立にあてがおうとするのを白木は止めた。
「まって、真輝、もうちょっとだけ」
 真輝の手を持ち上げ、手のひらにキスをする。
 そして、指を引き抜くと、真輝の双丘を割った。
 濡れそぼった窄まりが口を開く。
 そこに、白兎は自らの起立をあてがった。
 温かく柔らかな感触が、少しずつ白兎を包んでいく。
「はっ・・・ぁ・・ん・・・」
 苦しそうな真輝の声が漏れる。
 いくら十分に慣らしたとは言え、初めての行為には苦痛がともなう。
 きつい窄まりを、少しずつ白兎は埋めていく。
 けして無理に貫こうとはしなかった。
 少しずつ抜き差しを繰り返し埋め込んでいく。
「まぁたん・・・はっ・・んっ・・・きつい・・・」
 だんだんと、白兎自身も高揚にともなって息が上がる。
「苦しく・・・ない?」
 根元まで起立を埋め込むと白兎は後ろから真輝を抱きしめた。
 薄っすらと汗ばんだ背中は、まだ荒い呼吸を繰り返し上下していた。
「んっ・・ん・・・白兎・・・」
「うん」
「白兎・・・」
「ん?」
「顔・・・・」
 ハァハァと呼吸を繰り返し、僅かに聞こえるような声で真輝は言った。
「ちゃんと、顔見て・・・あぁっ・・・んんっ・・・」
 埋め込まれたものが、また少しかさを増した。
「ちゃんと顔見てしたい・・」
 そう言って真輝は腰を揺らした。
「うん」
 白兎は、ズルリと埋め込んだものを半分ほど引き抜くと、そのまま真輝の身体を
反転させた。
「んっ・・ぁっ・・・」
 引き抜かれる感覚に真輝は震えた。
 かつて感じたことの無い感覚が下腹部を走り抜けた。
 呼吸を落ち着け、真輝はようやく、白兎と向き合うかたちとなる。
 ピンク色に頬を蒸気させ、ハァハァと息を乱している白兎は底抜けに悩ましい。
 紅く染まった頬に腕を伸ばすと、白兎は嬉しそうに顔を綻ばせた。
 白兎が笑うと自分まで嬉しくなってしまうからどうしようもない。
 しかし、そんな穏やかな時間は長くは続かないのが心情である。
 白兎は、伸びた真輝の手をゆっくり下ろすと、少しずつ腰を使い始めた。
 肉壁を解すようにゆっくりと。
 自身を内壁にこすりつけ、こねる。
 そして、白兎のモノが、ついにあるポイントに到達した。
「んっ・・・ああぁ・・・白兎・・ソコは・・・いやだって・・・・」
 指で散々弄られ、舐られた場所。
 いやがおうにも反応してしまう場所を撫でるように刺激される。
「はっ・・・・・あぁ・・っ・・」
 触れてもない、前の起立からも止め処なく液が漏れる。
「好き・・・好き・・・んっ・・気持ちいよ・・まぁたん・・」
 夢中で挿入を繰り返す白兎からも、甘い声が漏れていた。
 「気持ち良い」「好き」と言いながら、自分の名前を繰り返す白兎が真輝の快楽
をさらに煽った。
 そして二人は同時に果てた。


「あっちぃ・・・・・」
 真輝は、額に流れる汗をシャツの袖で拭う。
 荒い息も少しずつ落ち着き、だんだんと頭も鮮明にってくる。
 鮮明になればなるほど心臓の音が大きく鳴った。
 先ほどまでの痴態が瞼によぎり、ひとりでに顔に熱が篭る。
 体内に放たれた温かい精液、股間に当たる、柔らかい白兎自身を感じる。
 先ほどまで埋め込まれていたモノを思い出してゾクリと甘い疼きが走り、ため息
ともつかない声が真輝の口からとめどなくこぼれた。
 二人で同時に果てた後、倒れこむように白兎は真輝の上に身体を落とした。
 そして、気を失うように、寝息を立て始めてしまったのだ。
(なんか・・・俺・・モーレツに恥かしいんですけど・・・)
 真輝の視線が空を泳ぎ、最終的に一点に止まる。
 腹の上には、すやすやと眠り続ける白兎の幼い顔があった。
 真輝と同じように、じっとりと汗をかき、スヤスヤと寝息を立てている。
 だらりと床におろした腕を持ち上げると、白木の髪をクシャリと撫でる。
 白兎はくすぐったそうに顔を綻ばせた。
 真輝はそれが可愛くて、手を頬へ滑らせると、その手にそっと、もう1つの手が
重った。
「白・・・」
「誓います」
 真輝の言葉をさえぎるように白兎が言う。
「ボクの一生をかけて、まぁたんの笑顔を守り抜くことを」
「白兎?」
 左手の薬指。
 真輝の長い指に白木は口付ける。
「誓います。世界中の誰よりも・・・・」
 真輝が当惑したような顔をする。
「まぁたん、まぁたんはボクが居ないとだめだって言ったけど、それはボクもおん
なじだよ」
「え?」
「ボクにはまぁたんが居ないとダメなんだ」
 白兎は、上体を起こし、真輝と視線をぶつける。
「愛しています」
 伸びをするように、白兎は身体をズラし、真輝にキスをした。
 柔らかく触れるだけのキス。
「永遠に」
 重なり合った唇から、再び熱が交わされる。
 それは蕩けるように甘く、甘美な熱。
 艶やかに光る唇を離し、白兎は小さく笑った。
「ご挨拶に行かなくちゃね」
「挨拶?」
「うん。真輝のご両親に、真輝を下さいって」
「ちょっ・・・ちょっと待てっ!それは・・その・・・・・」
「何?」
「何って言うか・・・微妙におかしいと・・・いうか」
「大丈夫、まぁたんにはボクがいて、ボクにはまぁたんが居るんだから」
「そういう意味でなく・・・・」
「じゃぁどういう意味?」
 膨れて、明らかに不機嫌という顔をしてみせる。
「・・・白兎、なんかキャラ違うくね?」
「違わない!」
 高校2年、夏。
 多くの子供たちが、大人との堺に立つ季節。
 受験だ、部活だと皆汗を流すけど、そんなものはどうだって良い。
 君が居れば僕は幸せだから。


〜エピローグ〜

「で?結局上手くまとまったってわけだ」
 新学期、白兎の写真を片手にニヤつく真輝に岡が不機嫌そうに言う。
「サンキューな。なんか全部お前のおかげっつか」
 真輝は、あの時のことを断片的に覚えていない節がある。
 白兎と上手くいったのは、全面的に岡が協力してくれたからだと思い込んでいた
。
「そうかそうか、それはよーございました」
 感情の篭らない声で返事を返すが、真輝に気にした様子は無い。
 嬉しそうに、今日も白兎の話を繰り返す。
「ほんと、かなわねーよな、白兎には」
 頬杖をつき、子供のように笑う真輝をみて岡は笑う。
「俺にもこんな風になれる相手、いんのかな」
 子供のように真っ直ぐで、バカみたいに甘い恋。
 



                         おわり